二十四話

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「た、太陽……いつから……」 色素の薄い太陽髪がサラサラと風で揺れている。 「道井くんと言ったよね……君はその…………たんぽぽの」 「恋人…………でした」 太陽の目線に合うように地面に膝を着くと彼の顔にかかる銀髪を撫でる。 銀色の髪で隠れていた幼い顔は大粒の涙で濡れていた。 「いつ頃……別れを?」 「二ヶ月前ぐらいですかね」 二ヶ月……丁度土筆が蒲公英に婚約を持ちかけた時期と重なる。 ――私にまで気を使うのかあの子 ハアと水仙によく似たため息をつくと土筆は両手両足を地面に着けた。 その動作を驚いた様に太陽の大きな目が更に大きく見開く。 「あのっ……土筆さん」 「すまないっ たんぽぽにその頃 婚約の話を持ちかけたのは私だ。 ……恋人が居たなんて……辛い思いをしたろう。 本当に申し訳ない」
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