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「言っとくけど、本気よ」
「む、無理だよ……
たんぽぽちゃんだって知ってるでしょ!俺が痩せたためしないことぐらい!」
蒲公英に縋りながら焦ったように詰めよう。
今まで何回かダイエットを試みてきたが一度も成功したことはない。
それも蒲公英は何度も見てきたはず。
蒲公英のために痩せようとしたことはあった。でも、痩せてはリバウンドの繰り返しだった。
その度に無理をしなくていいよと微笑んでくれたのは蒲公英だったのに。
「なら、別れましょう?」
「それだけは絶対いやだっ」
どうしても『別れる』の言葉にあらがえず、また涙を浮かべた。
なぜ今更、彼女はこんなことを言うのか。
自身に気を使っていてくれていたのだろうか。本当はこんな腹回りのだらしない男とは街を歩きたくなかったのだろうか。そんなことばかり考えてしまう。
「さー、ウォーキング頑張ろうね。太陽君」
「うん……」
正直ノリ気ではない。なぜなら結果がもう見えてしまっているからだ。しかし別れると言われて手前従うしかない。
いつもは下ろした髪を一つに結んで柔らかな栗色の髪でかくれていた白いうなじがやけに色っぽい。
やっぱり蒲公英は、美人だし偏見も気にしない。そんな彼女に太陽はだいぶ依存した生活を長く送っている。もし彼女が居なくなったら自分はどうなってしまうのだろう。
「た、たんぽぽちゃん……」
突然太陽は足を止めると、今にも泣き出しそうな顔をしていた
「その……別れるなんて言わないでよ。俺、たんぽぽちゃんがいないと……」
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