85人が本棚に入れています
本棚に追加
~一ヶ月後~数分前
目の前には『78.3』と表示される体重計。勿論、上に乗っているのは太陽だ。
「もともとが75㎏で一ヶ月で78㎏……」
「た……たんぽぽちゃんっ」
かなりヤバい。太陽はそう直感した。
毎日蒲公英は家に泊まりに来てくれた。だが、彼の目論見とは反し毎日毎日乗せられる体重計の数字を見る度、彼女の反応は冷たくなっていった。
そして今日がその約束の日だ。
もはや、怖くて彼女の方を見れない。
こんなはずではなかった。
蒲公英ならきっと優しく仕方ないねといつもの様に言ってくれるそう思い込んでいた。
「太陽くん、私への気持ちってそんなもんなんだ……」
ふうんと冷たい視線で太陽を凍りつかせる。
彼女に呆れられてる。
それは、太陽のメンタルをえぐるのには十分だった。
もはや、絶望と焦りで脳が正常に働かない。そして、いつのまにか太陽の瞳には大粒の涙が溜まっていた。
「ち、違うよ……俺だって……」
「太陽くん、痩せる気なかったよね。つまりそういうことでしょ」
何も言い返すことは出来ない……
そして、蒲公英は去っていった。
「なんで太るんだよ、馬鹿」
話終えるとすかさず、水仙の口から発っせられた。
「……傷をえぐるなよ」
やっぱり物事を飾らずストレートに発言する水仙はやっぱり彼女と兄弟なんだなと改めて感じる。
「まさか別れる理由が健康診断で引っかかったとか……でも、まぁ自業自得?」
最初のコメントを投稿しよう!