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――いいじゃない。
何が不満なの……?
優しそうで、
お金持ちで、
身長も高くて、
顔もよくて、
頭がボーとして何も考えられない。
ただ、猫乃間の顔をずっとみていた。
「たんぽぽ!」
艶のある懐かしい声。
その声でようやく正気を取り戻す。
「おじさん……それに水仙」
天葉家がほぼ全員 集まった。
しかし、水仙達よりも先に向かったはずの太陽がいない。
「姉貴、たい…………」
太陽来なかった――と聞く前に土筆の長い指が水仙の口をふさぐ。
「え、何か言った水仙」
「気のせいだよ。
それより……猫乃間の跡取り様にいつまで立たせるつもりだい?」
涼しげな笑みを浮かべながら、猫乃間の方を見る。
「い、いえ……僕は」
「いいから上がっていきなさい」
玄関のドアを開け、蒲公英もろとも家の中へ押し込むと、ようやく水仙の口から手を離した。
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