二十三話

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土筆が手を離した瞬間、勢いよく息を吐いた。 二、三度咳き込むと一旦落ち着いてから土筆の方を見る。 「おじさん、何するんですか! 鼻つまってたら死んでますからね俺」 「いきなり悪かったな。でも、お前が悪いんだよ」 かたや、死にかけたは言い過ぎだが命に多少の危機があったのに「お前が悪い」? 少しイラついたように眉間にシワがよる。 「俺が何したって言うんですか! 完全におじさんの方でしょ」 すると土筆はやれやれと言った表情で家の影を指差す。水仙へ見ろとうながす。 「……彼や蒲公英の気持ちを考えてみなさい」 家の影には太陽が小さくうずくまっていた。恐らく今までの会話をきいていたのだろう。
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