二十四話

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そんな目俺に向けるなよ。 俺だって、テンパってて自分のことで手一杯なのに。 しばらくすると、水仙は太陽から目を離した。 気付いたのだ。 姉貴と同じじゃねーか……本来、土筆に、大人に頼れば簡単に婚約は破棄できる。 言えよ。 破棄しろって。 太陽に頼んなくてもおじさんに言えばいいのに。 ――言えなくなった。 大人に頼らない癖がついてるんだ 大人の愛情を十分に与えられずに育つとこうなるのか。 太陽、お前だけが頼りなんだ。 俺も姉貴も。 「とりあえず、親父に言って婚約は破棄してもらうよ」 今にも崩れそうなほどか細い声で土筆は携帯を取り出しボタンを押し始めた。
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