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「ありがとうございます」
「い、いえ……それより僕に構わず電話に……」
照れたように笑う猫乃間がさっきから太陽と重なって酷く辛い。
――本当はこれからずっと一緒のはずだったのに。
もう、やめたい。
こんな彼のことがちらついているのに……他の人なんて。
「あの、猫乃間さん……婚約のお話し何ですが」
そう言いかけたとたん祖父の言葉が頭に浮かんだ。
『大学をやめて働け。
うちには、お前らを支援する金はもうない』
そんな事になれば私だけじゃなくて水仙も。
「すいません……何でもありません。テレビ、勝手に見てて下さい。
ちょっと失礼します……」
軽く会釈をしリビングを出ると、猫乃間がつけたテレビの天気予報がしきり越しに聴こえる。
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