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これで確実に蒲公英との時間が減った。
まあ、それでも水仙が笑ったからいいか。と思うしかない。
太陽たちのクラスは太陽、水仙、蒲公英などわりと顔のいい者が集中していたと言う理由から『ホスト・ホステス倶楽部』で即決定。
当日、売り上げを太陽、水仙どちらが一位をとるかのかけが行われるほど。
その中に蒲公英もあがったのだが、彼女は接客が苦手ということもあり、ホステスを辞退。
裏方に回った。
いよいよ当日、太陽は初の文化祭デートに胸が高鳴っていた。
衣装に着替えながらプランをねっていると
「太陽くん、ちょっといい?」
その艶やかな声を聞くとビクンと肩が跳ねる。
勿論、太陽はその声に直ぐに応じる。
「う、うん! いいよたんぽぽちゃんっ」
紫色のカーテンを開けると、黒の三角巾に群青色のエプロン。
その家庭的な彼女の姿に「こんな子がお嫁さんになってくれたなら……」なんて将来を妄想する。
「太陽くん?」
「あ、ああっごめん。どうしたの?」
慌ててよだれを拭うと蒲公英は困った顔をしていた。
「その……太陽くん、午後からフリー何だよね。
だから、午後から一緒に回ろうって約束なんだけど…………」
なんとなく根拠は無いが嫌な予感が太陽の身体をつつんだ。
鳥肌がたっている……危機を体でかんじている。
「その……午後からの子が急に熱だしちゃったみたいで、ホステスの人数があまりに少ないとアレだからって…………」
青い瞳は伏せられ太陽の顔を見ようとしない。
そこで、何となくつながった。
「ま、まさか……たんぽぽちゃんが代理で…………」
コクンと小さくうなずくと、ゆっくり太陽をみた。
「そ……そんなぁ~……それじゃ、俺と回るやくそくぅ……」
ボロボロと大きな目からは涙がこぼれ、眉は完全に下がっていた。
まるで大きな幼児だ。
「ごめんね、明日はきっと来ると思うから……今日だけ」
「お、俺すげー楽しみにしてたんだよ……」
ギュウと甘えるように蒲公英に抱きつくと、しばらくしないうちに太陽に指名がきた。
「王子、彼女とイチャイチャしてないで指名だよ」
その声に無理矢理 蒲公英から引き離される。
「頑張ってね太陽くん」
「たんぽぽちゃん……ヤダよ」
しぶる太陽を無理矢理 持ち場に戻すと、蒲公英も調理室へ戻った。
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