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いまだ泣き止まないな太陽を撫でながら、なだめるような口調で蒲公英は言った。
「泣き止んでよ。私ならここにいるでしょ」
「たん……ぽぽちゃん」
嗚咽混じりに蒲公英の足にしがみつく。そんな縋るような太陽の様子に蒲公英は彼の事を本当にバカだと思った。
この人とはまともに話もできないのだろうか。
感情に飲まれ泣き止まない彼を見て呆れたような顔で彼の髪を撫で続けた。
蒲公英は目の前で喚いている彼と同じ21歳。
彼とは身長も同じくらいだが、体重に関しては蒲公英の方がはるかに軽く細身だ。
太陽が少し力を入れて抱きしめたら潰れてしまいそうな程だ。
「離れないで。ずっと一緒に居てよ。
たんぽぽちゃんが居なくなったら俺死んじゃうよ」
涙混じりにボソボソと太陽が話はじめた。
「……」
「たんぽぽちゃん?」
苦そうな顔をしながら沈黙する蒲公英。
すると彼女はそっと太陽を自分から引き離して玄関へ足を向けた。
「そういうところ本当に耐えられない。
いつまでも私に依存しないで。
じゃあ。もうここに来ることはないと思うから」
乱暴に閉められる扉。それからガチャリという音が響いた。
「えっ? ……たんぽぽちゃん!?
行かないで!別れるなんて言わないでよ!
やだやだやだ!行かないで!
ねーっ! たんぽぽちゃん!たんぽぽちゃん!」
蒲公英に施錠されて開かなくなった扉の取っ手をガチャガチャと動かす太陽。
彼は軽いパニック状態に陥っていた。
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