二話

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一ヶ月前、まさかあの約束を彼女が本気に思ってた何て。 「前々から太ってきてるなとは思ってたけど、さすがにまずいと思う」 彼女の薦めで受けた太陽の健康診断の結果をマジマジと見て、ここまでだったなんてとさすがに蒲公英ですら引いた。 「ちょっ……そんなのどこからっ見なくていいって!」 太陽自身でも引く結果なんだ。絶対、彼女には見せたくなくて隠していた。 何で見つけるんだよ。 そんな情けない叫びを無下に蒲公英は彼の健康診断の結果と彼を交互に眺める。 その目はどことなく呆れているように見えた。 座るとふっくらとしたお腹が太ももに乗るほど。体の厚みも蒲公英の倍あるように見える。輪郭もほぼまん丸で二重アゴになってしまっている。 「ちょっと、たんぽぽちゃんマジ返して……」 「だめ。今回は本気で考えないと危ないわ」 蒲公英にしても太陽の身体が心配なのだ、太陽が泣こうがわめこうが、関係ない。 今までは太陽の幼い顔立ちのポテンシャルが勝っていたが、最近はさすがに太りすぎていてカバーしきれない。 「太陽君のためよ さすがにダイエットしましょう」 「えっ……」 太陽の動きが固まる。 蒲公英はいわゆる世間でいうデブという偏見や蔑みはあまりないタイプの女性でいままで付き合ってきていてそんな風には言われたことはなかった。 「一ヶ月で5㎏痩せなかったら別れるからね」 今まで溺愛していた彼女の口からまさかそんな言葉が出てくるとは、夢にも見たくなかった。
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