episode 17 魔王の罠

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翌日――。 「しまった――!」 昼過ぎまで泥のように眠っていた。 こんな時に緊張感がなさ過ぎる――思ったけれど。 「あ……」 本来眠りの浅い僕が、彼が部屋を出て行くまで眠り込んでいるなんてありえない。 「やられた」 朝方、九条さんがグラスにアイスティーを入れて僕に飲ませてくれたことを思い出す。 余計な心配かけずに眠らせようと――彼が睡眠薬でも盛ったんだ。 少しぼんやりする頭で起き上がり、シャツを羽織ってベッドを出る。 ご丁寧に僕の好物ばかり並んだルームサービスまで届いていた。 いつもどおり白いカードにはメッセージ。 『Mon petit oiseau』 僕の小鳥――。 「こんな時まで――」 少し呆れてライムジュースを手を伸ばすと、テレビをつけた。 新聞とニュースショウに一通り目を通す。 これと言って、大きな動きがあるわけではなさそうだ。 だけど朝起きて、すでに彼が僕の隣にいないという事。 それはすなわち、水面下で何か良くない事が起こっている証拠だ。 突然――。 耳慣れない音で、ホテルの内線電話が鳴り響いた。 今まで一度もなかった事だ。 九条さんかもしれない。 僕は無言のまま受話器を上げた。
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