episode 20 偏執する愛

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episode 20 偏執する愛

「征司、お兄様っ……!」 目隠しされ 縛られたベッドで――。 「もう許してくださいっ……」 僕は身体にねじ込まれた無機質な玩具に 雄の機能を支配され 嬲られ 導かれ続ける。 「何度言ったら分かる?絶頂に達する時はやつの名前を呼べ――」 征司の冷たい声だけが、僕の頭上を言ったり来たりする。 「……できませんっ……」 「それじゃあ朝までそのままでいるか?」 自由の利かない身体の痛み。 「いやっ……たすけて……」 何度も押し寄せる快感の波に僕は抗えない。 「もう……ダメ……!」 感情さえない機械相手に 捨てられた恋人の名を呼んで果てるなんて――。 「ほら、どうした?早く呼べよ?」 征司が僕に強いた屈辱的な行為は、もう数時間続いていた。 僕の理性の糸も そろそろ耐えられそうもない――。 「今のおまえに生身の俺をあてがうとでも思ったか?」 征司は僕の目隠しをはずすと、指先で零れる涙をそっと拭った。 「嘘つきの涙なんかに騙されないぞ?」 意地悪く囁いて、悪魔はふいに僕の下腹部を圧迫する。 「……あっ……あっ……!」 限界だった――。 「さあ、あいつにイカされるおまえの顔、俺に見せてみろ?」 九条さん――。 九条さん――。 瞼の奥に焼き付いた彼の繊細な裸体。 愛撫する優しい指先の動き。 囁く低い声と耳をくすぐる甘い舌先。 「九条さぁんっ……!」 僕は叫んで征司の前で果てた。
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