episode 24 オペレッタの夜②

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「本当のことを言うとね」 言葉を選ぶ事もせず、彼を傷つけるのも覚悟で。 「僕の人生にあなたはそぐわない」 僕は泥水を差し出した。 「僕が君のパートナーでは不満てこと?」 九条さんは少し戸惑いながらも、率直に僕の言葉を意味を探る。 「僕が満足しない相手と付き合うと思う?」 「じゃあなぜ?」 「僕が言いたいのは――」 言いかけて僕は、そっと自分の手を握り合わせた。 「さっきね、君のお母様が僕の手を取って励まして下さったの。その時分かったんだ。今の君が僕にくれる溢れんばかりの愛――枯れない泉みたいな愛はさ、こうして育まれてきたんだって」 僕は愛の泉を持たない。 だから九条さんは、僕の人生にはそぐわない――。 「征司お兄様との関係は――それこそ僕の人生に見合った特別な物だったんだ」 いくらそれが卑猥な倒錯で 常識から逸脱し歪曲されているにせよ――。 愛を知らない僕の――いや僕らの人生には、これ以上ないほどぴったり適合していたんだ。 「純粋な愛とはまったく違うけど」 僕が自嘲気に笑って顔を上げると――。 「九条さん……?」 人目もはばからず、彼は僕をすっぽりと抱きしめてしまった。 「いいんだよ。君の中にどんな感情があったって――」 優しく僕の頭を撫でる手は少しだけ震えていた。
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