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「いい?簡単なゲームよ。今日はお父様の記念すべき50回目のお誕生パーティーなの」
白いレースをたっぷり施したドレスを着た貴恵お姉様が――。
「パーティーの途中で来賓の方々にあたしたちを紹介するんですって。ひとりずつ前に出てご挨拶するのよ」
僕を床に正座させて。
頭の上で言う。
「和樹……いいこと?あなたは皆様の前でこうおっしゃいな」
12歳になったばかりの少女には似つかわしくない、色香のある声音で。
「僕は妾の子です――って」
僕に告げた。
「この家にはふさわしくない汚れた人間ですって」
それはまるで。
神託――。
「できるわよね、和樹?」
征司お兄様はソファーでフィンガービスケットをつまみながら。
薫お兄様は読みかけの本を胸の上に開いたまま窓際に寝転がって。
楽しげに僕の様子を見ていた。
「返事は?和樹」
貴恵お姉様の声が厳しく僕を打った。
この家にいたいのなら。
「はい――できます」
彼らの命令は絶対だった――。
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