episode 25 戯れの末路

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見計らったように――。 「いいとこなのに」 九条さんの携帯電話が鳴った。 「おあずけ」 ベッドの上のローブを羽織ると、意地悪く笑って携帯電話を手にとる。 「貴恵だ――」 着信を見て自嘲気に呟く。 「もしもし」 さすがに僕の目の前で喋るのははばかられるのか、彼は電話を片手にバスルームへ向かう。 開いたままの扉の向こう、無駄にうろうろと歩き回る九条さんの姿が見えた。 平然とした声音で妻と電話しながらも、時々僕の顔色をうかがう。 僕はベッドに寝転んで頬杖をついたまま、狼狽する彼を見てどこか楽しんでいた。 「――なんだったの?」 げんなりした様子で戻ってくると、九条さんは携帯電話をソファーに放り投げた。 「君を探してた」 「お姉様、僕を探して九条さんのところに電話してくるんだ」 「笑い事じゃないよ」 「それで憎き弟になんの用だって?」 九条さんは真顔で僕に向き直った。 「お父様のお見舞いへ行くようにって。お父様の入院の引き金になったあの騒動も、結局は君のせいだから謝ってこいってさ」 「いやんなるよ。悪い事が起こるとなんだって僕のせいなんだから」 僕はあきらめ半分、ベッドから立ち上がった。 「まあ、あながち間違ってもいないけど」 原因はすべて僕にある。 そう、これから起こる事も きっとすべて 僕の天性の悪運に起因するのだ――。
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