episode 25 戯れの末路

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拓海を振り返る時 僕にはこの後起こる事の だいたいの予想はついていた――のかもしれない。 目前の灯りで、さっきよりも拓海の顔がよく見えた。 白く虚ろで、寂しげに見えるほど心もとない表情をしていた。 「俺さ、嘘をつくのがヘタなんだ」 震える声の危うさ。 「それ以上にさ、人を憎んだり本気で嫌いになったりする事が苦手みたいだ」 迷子の子供みたいな顔して、拓海は俯いたまま唇を噛んだ。 「全部、美点じゃない」 僕はにっこりと笑って見せる。 「君が持ちうる美点。僕がもっとも苦手とするタイプの――」 一瞬だけ、拓海の白い歯が見えた。 「出会った時もそんな事言ってたな」 泣き出す前のように肩を震わせ、大きく深呼吸する。 「だけどさ――」 拓海は両手を祈るような形に組み合わせた。 祈る時 人はさ 必ずそれ相応の見返りを求めているんだよね。 僕は目を細めた。 細い銀色の光にも似たきらめきを拓海の手の中に見た。 次の瞬間 拓海は僕の身体を強く抱きしめていた。 「ごめんね和樹――君が嫌いなわけじゃないんだ」 耳元で囁く声はとっても優しくて――。 僕は殺される痛みなんて これっぽっちも感じていなかった。
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