episode 1 すべては戯れ

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子供の頃から身体が弱かったせいか。 僕は小枝みたいに痩せっぽっちで。 真っ白だった。 瞳と髪はみんなが驚くほど黒くて。 唇だけが朱を塗ったように異様に赤かった。 そんな僕を見て。 父は言った。 「軟弱この上ない――男子の風上にもおけんやつだ」 姉は言った。 「人形みたいな顔して何考えてるのか分からないわ。不気味な子」 上の兄は言った。 「あの目も唇も母親ゆずりだろ?誰かれ構わず誘惑するいやらしい娼婦みたいだ」 下の兄は言った。 「からっぽ。あいつの目は暗闇しか見てないみたいにいつもからっぽ」 そんな僕が15になった頃――。 まわりの僕を見る目が。 少しずつ変わってきた。 「天宮家のご三男をご覧になって?」 「あの美貌、あのまなざし」 「お妾さんの子ですって――」 「どおりであの色香」 僕の抱いてきた底はかとない背徳感。 真正面を向けない視線の癖。 痩せた白い身体も。 熟れたさくらんぼのように赤い唇も。 ただ、美しさと称されるようになった――。
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