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その日私は友人の祐希(ゆうき)と一緒に下校していた。
時間は今でも胸に焼き付いている。
午後5時42分。
冬の夕焼けがまどろみはじめ、寒いながらも心地よく風が吹いていた。
だから私も祐希も辺りが暗くなったとき、ただ夕陽が雲に隠れたんだ。
そうとしか、意識していなかった。
「ギャーーー!!!
………
…………」
私の普通、日常を引き裂いたのは、誰かの絶叫する声。
それは狂気と傷みを撒き散らすには十分過ぎた。
「なんか、ヤバいよ!!
ユキ!走るよ!」
私は訳も分からぬまま、祐希に腕を掴まれ走りだしていた。
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