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「祐希ーーー!!!」
私は叫んだんだ、
叫ぶしか出来なかった。
そして、私の目の前で祐希は死んだ。
最愛の父の姿をした者に喰われるかのように、呑み込まれた祐希。
私はこの時に、何かがひび割れる音を聴いた。
そして、私も次にはああなってしまうんだ、という恐怖と諦めが重なっていた。
だけど、私の絶望はまだ終わらなかった。
祐希を呑み込んだ異形は、ブクブクと泡をたてながらまたも形を変えていく。
そして形が形成されたとき、
ひび割れる音が、何かを叩き割った音へとかわる。
それは、壊れた私の心。
私が見据える先。
いるのは、
「祐希………」
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