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父と同じ、色を失った祐希。
私に優しく笑いかけている。
今までの優しい笑顔。
いつも自分と楽しく笑いあって、私に向けられていたあの笑顔は。今は私を死に導く死神の笑顔。
「ユキ……、一緒に、なろ?」
ゆっくり近付いてくる。
私はもう抵抗する気も、逃げ出す気にもならなかった。
それ程に私は、私の心は壊れていた。
「気に入らないな…」
突如声が。
私は虚ろな目でその方を見る。
そこには、私と同い年に見える男子。
右腕に包帯を巻き、目は輝く程美しい銀の瞳。
制服を着ているが、何処の学校かは分からない。
そして、月の月光に似た白髪のショートヘアー。
「何で、生きようとしない?」
その男は何故か怒っている。
「あなたに、………関係な、い。もう、………死に、たいの。」
私は虚ろな目で見つめ続ける。
涙さえ出ないその瞳は、男と対照的に輝きのない、絶望の色。
「そうか………
なら、先に、」
次に見たときには、私の目を抉る男の手。
「殺してやる。」
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