6人が本棚に入れています
本棚に追加
「明日、そつぎょーかぁ。」
菊丸が大声でそう言えば。
「寂しくなるな。」
落ち着いた声が菊丸の隣から聞こえる。
その声はいつも優しくて、菊丸の心は少しだけキュッと傷んだ。
「そだねー。オレ、卒業式泣いちゃうかも」
平常心を装って、菊丸は笑いながら言う。
「まぁ、3年間って言っても凄く濃密だったもんな。」
あどけない会話。
どこにでもある普通の会話。
なのに、なんで菊丸の心はこんなに痛むのだろう。
破裂しそうな想いを持て余して、どうしてこんなに切なくなるのだろう。
「……大石。」
そっと隣にいる大石の名前を呼んだ。
最初のコメントを投稿しよう!