風が吹く場所

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「明日、そつぎょーかぁ。」 菊丸が大声でそう言えば。 「寂しくなるな。」 落ち着いた声が菊丸の隣から聞こえる。 その声はいつも優しくて、菊丸の心は少しだけキュッと傷んだ。 「そだねー。オレ、卒業式泣いちゃうかも」 平常心を装って、菊丸は笑いながら言う。 「まぁ、3年間って言っても凄く濃密だったもんな。」 あどけない会話。 どこにでもある普通の会話。 なのに、なんで菊丸の心はこんなに痛むのだろう。 破裂しそうな想いを持て余して、どうしてこんなに切なくなるのだろう。 「……大石。」 そっと隣にいる大石の名前を呼んだ。
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