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今まで律樹が自分を正面から見ることがなかったため、
雅「・・・そんなもの言わなくても分かるだろう。」
雅は驚きながらもそう言葉を返した。
そして続けて、
雅「お前は山里家の跡取りだ。それ以外の何者でもないだろう。」
と言った。
律「跡取り・・・跡取りだから俺に今まで厳しくしていたんですか?」
律樹は雅から視線を外すことなく続けて質問した。
雅「それ以外に理由があると思うのか。お前は跡取りとして俺の言うとおりにしておけばよかったんだ!」
雅は律樹の質問に苛立ちを隠さず、そう声を荒げて答えた。
それを聞いて、
律「・・・俺は家のためだけに存在しているという事ですか?」
律樹は怯えることなくさらに質問を続けた。
雅「そうだといっているだろう!こんな時にくだらない事を質問するな!」
雅のこの答えに、
律「・・・そうだとは思っていました。」
律樹は立ち上がりながら自嘲の笑みを浮かべそう言った後、
律「俺のためを思ってくれているから、いつかきっとほめてくれるから、笑いかけてくれるから・・・普通の親子のように接することができるから・・・俺は今まで自分にそう言い聞かせてどんなことも耐えてきた。」
律樹は笑みを浮かべたまま涙を一筋流しながら初めて雅に対して敬語を使わずそう言った。
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