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それを聞き、
絢「同じ不安・・・。」
絢子は繰り返すようにそう言った。
鈴「はい。『本当は自分に会いたくないんじゃないか』という不安です。」
鈴がそう説明すると、
絢「!!律樹に会いたくないなんて思ったことなんて一度だってありません!」
絢子がそうすぐにきっぱりと大きな声で否定の言葉を口にした。
鈴「それならば中へ入るのにためらう必要はありませんね。今の声、律樹君にも届けているとは思いますがちゃんと顔を見て言ってあげてください。」
鈴はふと笑みを浮かべてそう言うと絢子の後ろへとまわり、背中を軽く押した。
絢「・・・ふぅ・・・。」
絢子は一度大きく深呼吸をすると、
絢「ありがとうございます。」
と鈴に向かって言い、病室へと足を踏み入れた。
そして、
絢「・・・り、律樹・・・。」
すぐに律樹を見つけ、成長した息子の姿を見て涙ぐみ、言葉にならない声で律樹の名を呼んだ。
すると、
律「・・・お、おか、あさ、ん。」
久しぶりに見る母親に目を見開き、律樹も絢子と同じように声にならない声でそう言った。
そう言った次の瞬間、
絢「律樹。」
絢子がそう震えながらしっかりと聞こえる声で律樹を呼び、涙を流しながら律樹にゆっくりと近づいていった。
そんな絢子を見て、
光「何固まってるんだよ。ほら、律も行きな。」
光希が呆れたようにそう言って律樹の背中をバシッと叩いた。
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