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冬「そうだ。その事でわしとあいつは意見がわかれてな。」
冬慈はそこで一旦言葉を切り、
冬「あいつは状況によっては殺しをするべきだという意見にいつの間にか変わっていってな。わしと最初に考えていた考えとは離れていったんだ。わしはどんな状況だろうと絶対に人は殺さない。たとえ自分の命が関わっていたとしてもだ。」
冬慈はその時の事を思い出しているのか、目に怒りを宿しながら続けて言った。
槙・識『・・・・・・・・・。』
いつも自分達に向けられる怒りとは全く別の怒りに槙と識は恐怖で身震いした。
そんな2人を見て、
冬「ふぅ・・・そんな些細な意見の食い違いからどんどん食い違いが出てきてな。依頼金やら最初決めたルールやらな。結局どちらも意見を譲るような人間じゃないからな。あいつは『納得屋』をやめて自分で『黒煙屋』を開業したんだ。」
冬慈は深く深呼吸をした後、話を続けた。
槙「あれ?今の『黒煙屋』ってあいつ名乗ってましたけど先生と一緒にいた開業した人ではないですよね?」
槙が冬慈の話を聞き、ふと疑問に思ったことを口にした。
冬「当然だ。今の『黒煙屋』の店主はあいつの息子だ。わしのもとを離れたのが30年くらい前だったが、その時はまだ子供はいなかったな。いやわしが知らなかっただけか。」
冬慈はそう言った後、清美を見た。
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