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「お願いした人はみんなそう言うのよね」
彼女は俺を見下ろし、うす笑いをうかべている。立ち上がると、自分のコーヒーカップの持ち手を指先でつまみ、湯沸かし設備の所へ持って行ってコーヒーを流しに捨てた。もしかしてコーヒーの中に何かのクスリが……。
「古江先生も大学の倫理委員会も反対するし……。それで決めたの、被験体の意思は無視することにね。少数精鋭の同志でまず実績をあげてから、各方面を説得するわ」
薄れゆく意識の中、彼女の言葉が頭に響く。その意味も捉えられなって……。
「心配しないで。除去するのは本当に不要な器官だけだし、きちんと麻酔をかけてあげるから」
それが記憶に残る最後の言葉だった。
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