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リーダーは美人だけど気が強い女王気質なシェイラ。
肩を怒らせヒステリックに人差し指をメランコリーに突き付けて詰め寄っている。
その表情は美人だという顔の造形を台なしにしていた。眉を釣り上げてぐにゃぐにゃと動く上唇は鼻に付かんばかりにめくれ上がっている。
見てはいけないものを見てしまった。
しかしそんな表情が目前に迫っても、我等がメランコリーは後ずさったりしない。
真っ直ぐに立ってシェイラを静かに見据えていた。
内容は分からないが多勢に無勢で言い寄るなんて……
お腹の底に怒りを感じ、僕は無意識に踏み出していた。
そんな僕に気が付かず、シェイラはメランコリーを突き飛ばし部員達を引き連れて渡り廊下へと消えていく。
残された彼女は……
まだその場に立っていた。
眉に力を込めて、握り締めた両手は微かに震えている。
初めて見るメランコリーの表情に胸が締め付けられた。
足を踏み出したまま僕は動けなかった。
「だ、大丈夫?」
近寄り難い雰囲気に、思い切って声をかける。
僕に気が付いた彼女は無理に笑顔を作ると、身を翻して部室の方へと駆けて行った。
翌日からメランコリーは独りになった。
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