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メランコリーに話し掛ける者はなく、仲の良かった友達も気まずそうに彼女を避けた。
廊下の向こうで腕を組み、シェイラがほくそ笑んでいる。
なんて嫌な女だろう。
あんなのとは頼まれたって仲良くしたくない。
僕はメランコリーの味方だ。
日に日に無口になっていく彼女は、もう部活にも出ていなかった―…
終業のチャイムが鳴り一斉に帰っていく生徒の間にメランコリーが見え隠れしている。
「メランコリー!」
僕は後を追いかけていた。
帰り道、弟の病院に寄るのが習慣だと言っていたメランコリー。
今日は僕も一緒に行こうと思う。独りで下を向いて歩いているより、元気が出ると思うから。
……また、春風みたいに笑ってほしい。
光を弾くタンポポみたいな笑顔が君には似合うんだ……
「メランコリー!!」
追いかけていると、担任の教師が走り出てきて慌てた様子でメランコリーに何事か話している。
メランコリーの両手を取って、言い聞かせるような教師。
話し終わるとメランコリーを抱きしめた。
追い付いた僕が彼女の顔を見ると、大きな目は見開かれていた――
時が止まってしまったようなメランコリー。
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