走れメランコリー

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  ―――が、     突如メランコリーは止まった。   メランコリーは泣いていた。     「……うっ…く……ひっ……」 彼女は初めて声をあげて泣いた。 小さな肩が震えている。 「……メランコリー…?」     ようやく追い付いた僕は牧場の柵に手をかけて泣く彼女の隣に立った。   泣き止まぬメランコリーは   赤トンボを見ていた。         声を掛けようとして僕はやめたんだ。 ……そして赤トンボを見た。 気が済むまで泣いていいよ。 僕も一緒に泣いてあげる。 僕も一緒に笑ってあげる。 そうしたら、少しは楽になるよね……? 言葉のない赤い世界で、二人の瞳に同じ景色が映っていた。
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