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「ふっ」
その突拍子も無い問に加え、青くなった男の表情を見て思わず妖怪は吹き出してしまった。
「この程度でアヤカシに憑かれるものか」
「じ、じゃあ」
「心配せずとも、まだ手の打ちようはある。なんなら私がこのアヤカシを払ってやろう」
そう告げた瞬間、男は目を見開いて「本当か!?」と声を上げだ。
対する妖怪は「ああ」と頷いて返した。
「なら俺、今すぐ村長に今の事話して来るよ。 ついでにそのアヤカシってのを払う道具集めて来るけど、何が必要なんだい?」
「蝋燭や松明、明かりを灯せる物なら何でも良い。それと、このアヤカシを払うなら夜の方が良い」
「分かったよ。じゃあちょっくら行って来る」
男は告げてすぐ、その場から駆け出して村の外れへと走って行く。
妖怪はその背を見送ってから、先程から黙り込んでいるカヤを見た。
カヤも妖怪の視線に気が付き、二人はしばらく目を合わせる。
両者共に黙り込んだまま。どちらも口を開こうとはしない。
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