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村はそれほど大きくはない。
しかし、家木は立派で大きいものばかりが並んでいる。
この村は先程の作物を街に売って栄えているのだろう。
高原の野菜は普通の野菜よりも高く売れる。
特に気圧の低い高原で育つ葉物は身が締まっていて高級料亭が大金を出して買ったりもする。
いい場所に村を拓いたものだと妖怪が感心していると、ふと通りの角に人集りが出来ているのを見付ける。
妖怪は何かの気配を感じながら、人集りへと歩む。
そこは村の真ん中で、広場のようだった。
中心には井戸があり、人はそこに集っていた。
どよめきの中、すすり泣きをする夫婦が居るのを妖怪は見逃さなかった。
その傍らには、幼い少年の亡骸が寝かせられていた。
一体何があったのか大体察しはつくが、妖怪は何かの胸騒ぎを感じていた。
「?」
妖怪がふと気付き、目を向けた先には一人の女の姿があった。
これだけ人が居る中、何故彼女だけが離れた場合から事態を俯瞰しているのか。
疑問に思い、妖怪はその女に声をかけた。
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