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彼女が一体なんの為にそんなことをしたのかは解らない。
仲が悪い、とまではいかないが、相性が少し悪いのだろう、そんな風に思っていた。
だが、違っていて、学は彼女と対等ではなく、上下関係がはっきりしている。
ならば、俺がなんとかするしかないじゃないか。
そしてそれはきっと、善意とか、感謝、とかではない。
ただ、するしかない。
それだけだ。
「だから学、もう無理をーー」
「違う……。違う。違うッ!! 僕は好きで貴方と居るんだッ!! 最初からだッ!! あの女が僕を利用したんじゃあない、僕があの女を利用したんだッ!!」
学を俺の言葉を遮り、興奮したのか、椅子を倒す様に立ち上がり、そう吐き捨てた。
どんな想いで学は此処に居るのか、俺にはわからない。
だけど、俺がこれからなにをすべきか、くらいは解っているつもりだ。
「そうか、解った」
「解ってない、解ってないよ、貴方は、本質を理解していない。」
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