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「次…どこいく…こか」
「奥平さん、足下フラフラしてますよ。俺、送って行きますから帰りましょ?ほら…乗って下さい」
俺は拒否る奥平さんをタクシーに押し込み、家に向かわせた。
車中ではいつも以上に陽気に話す奥平さんに適当に返事をしながら、暗い窓の外へと視線を移した。
奥平さんの家は高級マンションで、頼りない奥平さんに操作してもらい、なんとか部屋に入った。
「おじゃまします」
室内はきれいに掃除してあり、ほのかにいい香りがする。
統一感のある家具や、おそらく二人の新婚旅行らしい写真が飾られ、一見するだけで“理想的な幸せ夫婦の画”のイメージが頭に思い描かれてしまい…なんとなく息苦しい。
急いで奥平さんのスーツを脱がせ、暑いし大丈夫だろうと下着のままで寝かせた。
「おやすみなさい…」
ソファーでパンツ一丁で眠っている奥平さんが可笑しくて、笑いをこらえて家を後にした。
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