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脇田は呟いた。
「立河さんはいつもラジオの天気予報を聴き、天気図を見ていた。特に昨日は何度もラジオを聴いていたよ。嵐になればここは外部から邪魔されない。だから今日を実行日に選んだんだ」
何もかも計算されて、今日殺人と自殺が行われた。
三年間掛けて、周到に用意された計画だった。
真砂美には自殺されないよう、駐在から手錠を掛けられた。
イズミは謎のノックについて真砂美に訊いた。
「真砂美さん、俺が彼女と部屋にいる時に来ましたか?」
「ええ。ちょっと不気味女の顔を見せようと思って。でも人が来たから、すぐ逃げた」
これで浮気相手じゃなかったとヒロに証明出来た。
でもそうなるとあの胸出しは計算ではなく、本当に偶然だったということだ。
気があって来た訳じゃなかったことにはちょっとガッカリした。
村上も訊いた。
「最初の日に俺の部屋に泊まったのは、何か目的があったのか?」
「あれはあなたを利用出来ないかと思ったのと、部屋の構造も知りたかったから。でも榎田小春がいて邪魔されたわ」
村上も自分の部屋へ来た目的が利用する為だったと分かってガッカリした。
こちらは何とも思っていないのだから不都合はないのだが、何故かガッカリする。
ヒロは落ち込んでいる男二人を見て、『バカ二人』と、内心で呆れた。
「でも酷いわね。人の素顔を不気味女って」
真砂美は自虐笑いをした。
自ら不気味な女をわざと演じていたのだから、その呼び方は仕方ないだろう。
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