因縁の始まり

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仲の町の桜を抜きさる三月晦日頃、杜鵑の初音が聞こえ、龍海亮二は青く晴れ渡った空を仰ぎ見る。 日の高い強い光に、亮二は思わず目を細めた。 日頃、室内ばかりにいる亮二には毒なほど眩しい。 冴島由紀に連れ去られた一件により、藤堂はより一層過保護になった。 日課でもある庭園の花の水やり以外に、亮二が一人で屋敷の外に出ることを極端に嫌がる。 屋敷の庭園に赴くことさえ、藤堂はあまりいい顔をしない。 梅咲夏男の協力もあり、由紀はもう二度と亮二と藤堂に関わらないと約束してくれた。 だから、もう心配することなどないと言うのに…… 藤堂の過保護ぶりは屋敷中の人が舌を巻くほどだ。 胸の内で嘆息しながら、亮二は腕に抱えた牡丹の花へと瞳を向けた。    
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