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(千道と何かあんのか…)
気まずい雰囲気に、亮二は尋ねたことにどうしようもない後悔が込み上げる。
「龍海、悪いことは言わない。千道に関わるんじゃないぞ」
『えっ!?ど、どうして…』
苛立たしげに藤堂は亮二の躯を、乱暴な力で引き寄せる。
口吻けられそうなほど近くに鋭利な双眸が迫り、亮二は息を詰めた。
「どうしてもだ、いいな!?」
『……っ』
思わず怒鳴っていた。
藤堂の怒声に亮二は一瞬、機能が呑まれたように動きを止める。
怯えの色を露わに、痩身を萎縮させた亮二を見下ろし、藤堂は自らの失態を悟ったのだろう。
「…悪い。怒鳴ったりして」
一瞬前までの怒りの色が嘘のように、藤堂は苦い悔恨と狼狽を浮かべ、亮二から視線を逃した。
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