接触

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「出来ましたよ」 待ち詫びた声を受けると、亮二は心底安心したように、あからさまに大きな溜め息を吐いた。 「よく似合ってらっしゃいますよ」 瑠奈は亮二の前へと大型の姿見を運ぶと、そこに映し出された亮二の姿をまじまじと眺める。 『これが……俺…?』 姿見に映し出されたのは紛れもない己の姿だというのに、それはまるで自分ではないような、他の誰か別人のように見えてならない。 「零様もこのお姿を拝見されましたら、きっとお喜びになられますよ」 藤堂の名前を出されて、亮二が頬を赤く染める。 瑠奈自身、思った以上の出来映えに、深い満足を覚えた。  
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