1318人が本棚に入れています
本棚に追加
艶のある茶色の髪、陶器のような滑らかな肌を引き立たせる、黒地に牡丹、金閣箔、貝紫染、王冠絞の技法を施した豪華な着物。
甘い芳香を彷彿とさせるそれは亮二の持つ可憐さ、そして美しさを色濃く表している。
彼を知らない者が見たら、裕福育ちの令嬢と見まがうことだろう。
「もう準備はできたか?」
ノック音と共に、藤堂が扉の隙間から顔を出した。
藤堂は何も言わず、じっと亮二を凝視している。
似合ないのか?そう思いながら顔を上げ、こちらを見ていた藤堂と視線を合わせた。
すると、藤堂が満足気な笑みを浮かべて、セットされた髪をさらりと撫でる。
「俺の見立ては間違ってなかったな。よく似合ってる」
ようやく言葉にしてくれたので、亮二はほっとした。
「こんなにも美しいと、俺以外の奴には見せたくないな。誰の目に触れさせないよう、閉じ込めておきたくなる」
藤堂は亮二の腰に腕を回すと、その華奢な躯を引き寄せた。
男の品がよくて爽やかな甘さのある香りに包まれ、亮二は戸惑って声を上げた。
最初のコメントを投稿しよう!