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「緊張する事ないだろう。毅然と振る舞えばいいんだ。どうみたって、今の龍海は名家の令嬢にしか見えない。それに、こんなに美しい龍海をエスコート出来て、俺は鼻が高いよ」
藤堂は常に亮二のことを優先して、気づかってくれる。
自分も藤堂のこと気づかえるほどの、余裕があればいいのだけれど…
不器用な俺には、それが出来ない。
だから、今も俺は藤堂に助けられている。
重い溜め息が、胸の奥で蟠る。
その時、不意に誰かに名前を呼ばれ、背中を軽く叩かれた。
「亮二、零」
『晃』
「榊」
藤堂と亮二の声が重なる。
振り向くと、そこにはニコニコと人懐っこい笑みを浮かべた、藤堂の親友の榊晃の姿があった。
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