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そこならばいつでも亮二に眼が届く。
長い睫を伏せ、亮二は晃と話をしている藤堂を伺い見た。
自分に聞かれてはまずい話なのだろうか。
気にはなったが、もし聞いたとしても「龍海は詮索する必要はない」と、はぐらかされるのが目に見えている。
胸に湧いた疑念を打ち消すことが出来ず、首を振ろうとした亮二はふと、何かの視線を感じがして後方を振り返った。
振り返ったその先には、すっきりと容貌の上に上品な笑みを浮かべた男が立っていた。
亮二の視線に気づき、男がゆっくり近づいてくる。
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