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ブレスレットを見る。
あれから30分は経った。
「ふぅ……」
見渡す限り、教室っぽいのは見当たらず、何か廃墟っぽいところに来ちゃったみたい。
中を歩いてたはずなのに、いつの間にか外を出てた。おかしい。
また迷子。
首を傾げてもわからない、それに疲れたから野晒しの傷んだ机に腰をかける。
ギシギシ鳴る。
ヘッドホンから流れる曲に合わせて揺れながら、ブレスレットから見取り図を出してみよう。
現在地とかわかるかも知れない。
迷子も学習する。
「えっと……旧校舎…C4地区……?」
赤い点が、今俺がいるところ、つまり現在地。で、あってる?
ここ、旧校舎か。
辺りを見渡す。
戦禍の後みたいに、ボロボロになってる。
「……軍事学校……だから?」
校内でも、その戦闘訓練とか言うのを、する?
それにしても、戦うって……
武器とか使うの?
どんなもの使えば良いの?
「わからない……こと、ばっかり」
自問自答じゃ、答えは見つからない。
それに、考えるの、苦手。面倒臭い。
「……お腹……空いた」
空腹だ。鳴った。
でも、何も無さそう。
それに、今、迷子だ。
「……疲れた」
ひもじい。
ちょっと寝てから考えよう……歩き疲れた。
机から降りて、壊れたコンクリートに背を預けて、体育座り。
うん、寝れそう。
「ふぅ…………。…………?」
ヘッドホンをしてるのに聞こえる、動物の雄叫びのような何か。
顔を上げて、ヘッドホンを外す。
「…………近い?」
その雄叫びは、割りと近い、と、思う。
そして急に聞こえなくなった。
それが意味がわからなくて思わず身構え、辺りを見渡す。
……何か、いる?
じっと目を凝らす。
人なら、道を教えて貰う。
でも、動物なら……どうしよう?
首を傾げたのと、急に物影が視界に入ったのは、同時。
「はああああああああ!!!!」
「!!!!」
空を切るような音と、さっきの雄叫びに似た声。
思わず飛び退けば、キンッと金属音が響き、俺がいた場所に人影。
「っ……何?」
「は……みーっけ」
体勢を整えつつ、3歩ほど離れた距離にしかいない人物と目が合う。
血走った目、荒い息遣い。
そして、右手にナイフ。
ナイフ?
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