登校初日

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ナイフの人、同じ制服を着てるから、多分、学校の人に声をかける。 「……迷子?」 は、俺。 でも、もしこの人も迷子だったら、どうしたら良いの? と思って聞いた。 でも、返ってきたのは無気味な笑み。 「次はさ、躱すなよ……?」 「え……? っ、!」 ゆら、っと揺れたナイフの人が、俺目掛けてナイフを振り上げてきた。 ナイフを降り下ろされる前に、咄嗟にその人の足を払い、転がしてから後ろ向きに距離を取る。 ナイフで……俺を、刺そうと、してる……? しかも、狙ってたのは目だった。 危ない。 「……は、何……?」 「痛ぇ……何って、戦闘訓練、の時間さ。悪いけど、お前はオレに倒されて貰わないと」 横に転がったナイフの人は、そのまま体を起こして、ナイフを構える。 素手に、ナイフ。 よくわからない、俺、戦闘訓練をしてるみたい。 どうすれば良いの? 戦うの? 素手で? 「おらぁっ!!!!」 「!」 柄の持ち方を変えて、刃が下になるように、降り下ろしやすいような持ち方。 ただ、さっきよりも見やすい。 俺はスライディングをしてナイフの人の足を狙い、また転がせる。 「チッ……小賢しいっ!!」 「いっ……た」 そのまま前転して転がるナイフの人は、すかさず俺に向かってナイフを投げ付けてきた。 投げられたナイフが、俺の右肩を掠り、それからカランと音を立てて俺の奥へと落ちた。 肩から、血が少し滲む。 痛い。 でも、相手は、自分のナイフを捨てた。 丸腰。 これで、素手と素 「は……1本だけじゃ、ねぇよ!」 背中に手を回した相手の手には、またナイフ。 まだ、分が悪い? 俺、どうして戦うの。 戦闘訓練だから? どうすれば良い。どうすれば。 多分、素手じゃ、勝てない。 俺、ケンカとか得意じゃないから、実はもうしんどい。 ナイフとか卑怯じゃないの? みんな、持ってるもの? 「……、死ね!!」 相手が両手でナイフを持ち、屈んだ体勢で思い切りダッシュしてこっちに走ってくる。 どうすれば良い。 「……っ、う」 横に転がって躱す。 転がった方が早い。 でも、相手はすぐに体勢を整えて、立ってない状態の俺にナイフを降り下ろした。 「これで……!」 転がって躱すのは、無理。 咄嗟に手を伸ばして、何かないか探す。 手に棒状な何かが当たり、確認もせずにそれを掴んで相手の足に思いっきりぶつけた。
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