登校初日

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静が頷く俺を見て、モニターを指差す。 「とは言っても、土曜もフルで入っていますからね。やっくん、日曜しかゆっくり休めませんよー?」 「え……それ、しんどい……」 休み少ないの、大変。 疲れる。 「さて。授業の話題もこれくらいにして、次は学園のシステムについてお話しましょうか」 そう言いながら静がモニターを操作して、違う画面を出す。 ? 静の名前と、顔写真……? 「この画面に書かれてる、ランク、と言う欄を注視して下さい」 「ランク……?」 名前、クラス、血液型、誕生日、の下。 見慣れない文字。 「……一等兵……?」 「そうです。ランク、言わば階級ですね」 「階級……?」 何、それ。 首を傾げると、「あっれー、知りませんか?」とおどけられた。 知らない、ものは、知らない。 頷くと、静は笑みを浮かべて指をピッと立てた。 「軍人などに与えられる階級、と言うものがあるんですが、それはご存知ですか? ほら、大佐とか軍曹とか」 「んーん…知らない」 「そうでしたか。ざっと下から、二等兵、一等兵、兵長、伍長、軍曹、曹長。それから准尉、少尉、中尉、大尉。少佐、中佐、大佐。さらにその上が、少将、中将、大将。そして一番上が、大将の中でも優秀な者がなる元帥……と、なります」 「…………」 静が……何か、知らない呪文、たくさん言った。 ちんぷんかんぷん。 何か、いっぱい出てきた。 とりあえず、静すごい。 「えーと、やっくん? わかりましたかー?」 「うん……静が、すごい。わかった」 「……少しずつ、覚えて行きましょうねー」 苦笑いされた。 でも。 「それが、何の関係?」 「おぉ、良いところに気付かれましたね。流石やっくんです」 「本当……嬉しい」 「はい。実はですね、この学園、週末に必ず給料を支給されるんです。お小遣いですよ」 「お小遣い……何で?」 お金、貰えるの? 通ってるだけなのに? 「体を張って戦う理由、にでもしようとしたのではないですかね。現に、この学校は何にするでもお金がかかります。毎回の食事、武器の調達、怪我や病気の治療など」 「そう、なの?」 「はい。3年間健やかに過ごす為には、俗っぽいですが、お金が全てですね」 ……お金。 じゃあ、何で、授業料とか、かからない? この学校、やっぱり変。
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