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静の「次に」と続ける声を聞く。
覚えること、いっぱい……大変。
「戦闘の勝敗の決め方ですが、実にシンプルです。背中、もしくは胸がべったり地についた方が負け。仰向け、俯せの状態になったら負けです」
「両方?」
「えぇ。追い撃ちをさせないためでしょうね。あとは気絶も負け、相手を殺しても負け、更には銃火器と刃渡り20センチ以上の刃物を使用すると、反則負けになります。要はストリートファイトのような、そんな感じのルールでしょうか。ですが、素手での戦闘も禁じられていますね、何故か」
「不思議……」
「あくまで、武器使用に拘るようです」
銃火器……刃物。うん、危ない。
素手は……分が悪いから、とか?
頷いた俺に笑みを浮かべた静は、「あとは武器の説明だけで、今はやめましょうか」と言った。
うん、俺、頭いっぱい。
「原則、武器は学園敷地内で手に入るもののみ、となっています」
「そう、なの……じゃあ、これ……」
鉄パイプを持ち上げる。
「大丈夫ですよ。って、やっくん。武器、鉄パイプにするんですか? ……確かに威力は強そうですが」
「? ダメ?」
「いえ! やっくんが可愛いので、全然OKです。アンバランスさが非常にナイス」
親指を立てられた。
グッジョブ……?
返しとく?
親指、立て返しておいた。
「人気なのは、バットや竹刀とかでしょうかね。あと文房具とか……」
「静は……?」
「はい?」
「静は、何?」
そう言えば、静は戦ったんだから、何か持ってる。
気になった、から。
聞いてみたら、静はポケットから何か出した。
赤い……何?
「僕のは、これですよ。ヨーヨー」
「ヨーヨー?」
「そう。校内に売店があるのですが、そこで売られているものも使用化です。色んなものが売られていますし、後で一緒に行きますか?」
「……良いの?」
「勿論」
静はシャーッとヨーヨーを1回下に向けて回してから、手中に収める。
でも、ヨーヨー、どうやって戦うの?
「ヨーヨー、戦えるの?」
「あぁ。実は僕、小学生の時からやってましてね。これでも、世界チャンピオンだったんですよー? すごいでしょう?」
「すごい」
「下手なものを使うより、僕にはこれが最適でしてね。やっくんのサポートとしてなら、役には立てますよ」
静はそう言って、ヨーヨーをポケットにしまった。
……これで、一応、全部?
いっぱい、あった……頭いっぱい。
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