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「売店……大きい」
「え、何お前、来たことねぇの? 3日も学校居んのに? マジで? 今まで何してたの?」
「遭難してた、から……学校、今日初めて」
「マジか!!!! スッゲー、リアル遭難者にエンカウントしたの初だー。何この謎な感動!」
そう言って、肩をバシバシされる。
痛い。
「やー、気に入ったー。よしよし、可愛い弟よ、お兄ちゃんが奢ってやるぞー」
「? 俺、一人っ子……奢る、要らない」
「いーんだよ。つーかオレも一人っ子だけど、そんなん関係ねーよ、お兄ちゃんって呼べよー。あの日交わした盃を忘れたってのかい!」
「いつ?」
「あ? 知んねーよ、そんなのフィーリングだろ。さ、お兄ちゃんが腹いっぱい食わせてやるからな!」
「え、や、やだ……」
腕をぐいぐい引っ張られて、強引に中に入る。
俺、お兄ちゃんいない。
「何で、お兄ちゃん?」
「何で? そんなもん、兄弟愛に受容があるから供給すんだろ、マジこれ常識だからテストに出るぞー。ウソだけどなー!」
「……」
「何だそのノーリアクション、つっまんねーなー。とにかく、お兄ちゃんって呼びなさい。可愛い弟が欲しい年頃なのー、お兄ちゃんって呼べよー、なーなー」
「……わかった」
しつこい……から、何かわからないけど、お兄ちゃんになった赤毛の人を見上げる。
満足げな笑顔、返ってきた。
「それで、愛しい弟よ! 何が食べたいのかにゃー? 好きなものをいーなさい!」
「いい……自分で、買う」
「いーんだよ。つーか、オレ、金腐るほど持ってて使い道ねーの。だから奢って満足感的なものを手に入れて、新しい快・感」
「……ランク、すごい上?」
「あ?」
「お金……ランク上、いっぱい貰えるって」
「あぁ。まぁ、可愛い弟に比べたら、そりゃー天と地並みには格上だけどー? 何たってお兄ちゃん、これでも3年生っ、なのだっ、からっ☆」
「そう……すごい?」
「すっごーいの。まぁ、オレのマイサンのがすっげーけど。見る? 見ちゃう? 銜えちゃう?」
そう言ってファスナーを触りながらはあはあするお兄ちゃん。
何、してるの?
首を傾げたら、「冗談だってのー」と笑われた。
「ま、そんなんで、すっげーお兄ちゃんが奢ってあげるのでありまーす」
「良いの?」
「いーの、いーの」
そう言ってお兄ちゃんはお菓子コーナーを突っ切る。
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