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「有賀……お前、謹慎は1週間だったはずだ。何故もう出ている? 執行委員の監視もあったはずだが」
「えー、やだー、ヨッシーたらっ。そんなこともわかんねーの? んなもん、飽きたから出てきたに決まってんじゃーん。年頃のオトコのコなまさやんはー、4日しかお部屋で大人しく出来ませーん。んで、あんな雑魚、オレの相手になるわきゃねーだろーバーカ」
お兄ちゃんは中指を立て舌も出す、挑発をりょーすけ先輩にする。
りょーすけ先輩は眉間を抑えて、息を吐き出した。
「だが、お前を自由にするのは、他の生徒たちへの示しがつかなくなる。残り3日、大人しくしていろ」
「無理無理。つっまんねーじゃん。なー、ハチー? ハチはお兄ちゃんに3日も会えなくなるのやだよなー?」
「え?」
「……八雲?」
急に話を振られた。
俺に気付いたりょーすけ先輩は、目を丸くする。
「八雲。何故君がこんな所で……また迷子か?」
「はー? 何でオレの可愛い可愛い弟と面識あんの? マジ、有り得んティー!」
「お前こそ、何故八雲と一緒にいる……弟、だと?」
「俺……一人っ子」
首を振る。
お兄ちゃんも「そんなオレも一人っ子」とニヤニヤするから、りょーすけ先輩は難しい顔をした。
「……つまり?」
「お兄ちゃん、そう呼べって」
「は?」
「いやいや、呼ばせたくなるっしょ、そんなん。見ろよ、ハチ可愛いだろー? んじゃ、弟にしたくなんだろ、常識常識」
「お前は黙っていろ」
「ミッフィー」
指でバツを作って口元に運んだお兄ちゃん、を無視したりょーすけ先輩は俺の右肩を掴む。
ピリッとした。
「痛い」
「怪我をしているな……戦ったのか? 教師たちには、八雲には教室に行かせるよう申し立てたのだが……」
「迷子。旧校舎のとこで、ナイフの人に襲われた。でも、静のお陰で、教室行けた」
「…………。そうか」
一瞬。
眉をピクッとしたりょーすけ先輩は、それから頷いた。
「あーあー! ハチの柔肌、傷物にさーれーてーるー!!」
「……発言権は与えていないぞ」
「んなもん飽きたし。そんなことより、早く消毒しないとな」
お兄ちゃんはそう言うと、ポケットから何かを取り出して素早く俺の怪我した周辺を、裂いて広げる。
あ……お気に入りの、パーカー……まで、裂かれた……
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