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お兄ちゃんとりょーすけ先輩がいなくなって、急に人が恋しい。
騒がしいお兄ちゃんと一緒にいたから、何となく、一人寂しい。
「……静……遅い」
ベンチに足を立てる。体育座り。そこに頭を乗せる、落ち着く。
静、待っててって言った……すぐ来ないの、かな。
眠い。寝たらダメ。
鉄パイプをギュッと抱き締めて、冷たさで目を覚ます……ように、したい。
後で、これキレイにする。
あと……パーカー……縫う。
「……い」
あ……裁縫セットない……どうしたら?
「い、おい」
お兄ちゃんのせい。
こんなに裂いたの。弁償……
「っ、おい、聞いてんのか!」
「!」
肩を揺さぶられながら、耳元で、怒声。
ビックリ、した。
思い切り顔を上げる。
目の前には、白い髪をツンツンさせた人。
「……白ウニ」
「ァア?」
不機嫌そうに顔を歪められた。
怒ってる?
うん、怒ってる。
舌打ちをしながら、白ウニさんは手を離した。
「チッ……こんな所で寝るな、ド阿呆」
「む……寝てない」
「ァア? 寝とったじゃろ」
「静、待ってる。だから…寝てない」
「……強情なやっちゃ。まぁ、良い。襲われとうないんなら、無防備晒すな、ボケが」
「? 訓練の時間、以外にも……襲われるの?」
戦闘するのは訓練の時間だけじゃない?
そう思って聞いたのに、物凄く呆れた顔される。
「っかー! わかっとらんガキじゃの、オノレは。ここ、男子校つーのはわかっとんのか?」
「それが?」
「だったら察しろ、ボケ。オノレのよーなちんちくりんはの、突っ込まれて終わりじゃ。用心しぃ」
「? ツッコミ?」
何で漫才の話、してる?
俺がボケるの?
それだから、ツッコミされる?
あ、今みたいに?
「だから、白ウニさん…俺にツッコミ?」
「だーれが、白ウニさんじゃ! それに、オノレのような乳臭いガキに盛るほど、落ちぶれてないんじゃ」
「?」
会話、成り立たない。
お兄ちゃんみたいに意味がわからない喋り方じゃない、のに。
おかしい。
「ま、人気のないとこでは用心しぃ」
「……わかった?」
「わかっとらん……あいたっ!?」
ガンッと白ウニさんの頭に、赤い何かが勢いよくぶつかった。
「やっくんから離れて下さいねー」
「ァア!?」
「静」
パシッと手に戻るのは、ヨーヨー。
そして笑みを浮かべた静。
静、来た……!
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