バトルロワイアル・チーム戦(前)

25/28
前へ
/452ページ
次へ
ステージの上に上がると、『お、ピンクちゃん!』ってニット帽さんに言われたから、頷いておく。 『いやー頷かれても!』 「やっぱ、凩だったか」 反対側から上がってきた、オレンジ色の髪が見えて、俺は思わず身構えた。 「鎧戸、さん」 「よっ。久しぶりだな……初戦で有賀が対戦相手の出方読めるって分かってたから、何となくこうなるんじゃねぇかなとは思ってた……し、ちょうど戦いたかったからラッキーだな」 ニッて笑う鎧戸さんは、ぐるって肩を回すと、向こうの下からオールバックさんが「鎧戸、わかっていたのならそう言いなさい!」って怒る、のを鎧戸さんはやれやれみたいに肩を上げた。 「どうやっても読まれるんじゃねぇスかね、有賀なら凩当てるなら俺だと思ったから言ったんで噛み付かないでくれません?」 「貴様……! 日高雪路と戦いたいと言ってませんでしたか?」 「そりゃやれるんなら。でも、お宅らの城田の方が日高大好きだろ? 俺、今戦いたいのは凩なんで」 鎧戸さんはそう言って手の甲に腕時計を嵌めながら、左手を前にするように構える、から俺も鉄男を持ち構える。 と、鎧戸さんは楽しそうに笑った。 「日高なんかどうでも良いんだよ……それよりサバゲーん時のお粗末な戦いを仕切り直そうぜ、凩!」 「!」 先に身を屈めるみたいに、俺の前に一気につめてきた鎧戸さんは、休む暇なく肘を引いた右を出そうとしてるのが見えて、 「(……アウェイ!)」 ヒット、されそうなら、アウェイだ。 恭次くんの、ヒット&アウェイを思い出して、思いっきり足に力入れて後ろに飛んだら、短く右手をふるう鎧戸さんが一瞬目を丸くする、から、すぐに前に元の位置に戻りながら鉄男を突き出す。 鎧戸さんは体を横にして躱した。 躱された。 すぐに、間合いを取りながら鎧戸さんに向き合うと、鎧戸さんは口角を上げる。 「やっぱ、宍戸に似てきたな……前と動きがまるで違いやがる、強くなってるのがわかるぜ」 「鎧戸さん、も……強くなって、る」 「当たり前だろ、だから真野側3銃士と組まされちまってんだよ。いい迷惑だぜ、真野側なんかと手を取り合うなんざ、蛍様が言わなきゃやんねぇっての」 「え……、!」 拳を振るってきたのを鉄男で受け止めたら、鎧戸さんは顔を近付けてきて。 「……今から教えること、後で遠野に教えてやれよ」 鎧戸さんは「アンチのこと、あいつ知らねぇだろ」って囁いてきた。
/452ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4348人が本棚に入れています
本棚に追加