バトルロワイアル・チーム戦(前)

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降りる前に鎧戸さんに手を差し伸べたら、鎧戸さんは目丸くしてから床に手ついて「いいって」って小さく首振って、それから立って背を向けられる。 「強くなったな、凩。お前と戦ってると予想付かねぇし楽しいわ、またやろうぜ」 「え、うん……?」 「どっちだよ。ま、いいか、そう何回も負けてらんねぇから首洗っとけ」 手を振って向こうに降りてく鎧戸さん、から目を離して、俺も反対側に降りる。 と、前でお兄ちゃんが手を差し出してて。 「見てたぜ、ハチ。よく出来ました」 「……っ、うん」 お兄ちゃんの手を取るとぐりぐり頭撫でられた。 何だか……褒められるの、嬉しい? わからない、けど……よく出来ましたって言われたら、嬉しい、かも知れない。 「やっくん、お疲れさまでした」 「静……!」 静が傍に来てくれて、さっきのこと思い出した。けど、此処は色んな人が居て、開いた口を開いて閉じる。 静に、教えてあげたい、けど…… 『盛り上がってきたところで、副将戦始めようッス! リーチだまさやんチーム! もう後がないぞ、アンチ3銃士!』 「あぁ……やだなぁ、そう言う煽り……」 ニット帽さんの言葉で、上がってきたのは城田さんで。 思わず太ももを押さえたら静の目が据わって、「あぁ、城田先輩ですか……何だか無性に僕がお相手して差し上げたいです」って呟いた。 「アンチモード、静……」 「新しいですね。他にはどんな僕が?」 「あとは……俺の相棒の、静」 「それは良いですね、すぐに君の相棒の僕に戻りましょう!」 「楽しそうじゃの……」 ユキさんがため息を溢すのを、ステージの上で城田さんがじっと見てる。 「日高……お前が、僕の相手じゃないのかな……早く上がってきてよ……」 「日高先輩、アンチにおモテですねー」 「珍しくやる気満々じゃな、"あれ"も」 ユキさんが首をコキッて鳴らす、のをステージの上で城田さんが見てるままで。 その目の前を、赤が通り過ぎた。 「雪Gかと思ったところでオレ参上!」 ステージにジャンプして現れたのは、お兄ちゃんで。 城田さんは目を張ってお兄ちゃん見て、それから外のユキさん見てから首を横に振った。 「何で……」 「雪Gばっかキョーミシンシンかよー! まさやんともたまにゃあ遊ぼうぜー」 お兄ちゃんはニヤって笑うと、学ランの裏、背中からずるって卓球のラケット出す。 ……何でそのラケットにした、んだろう。
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