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バトルロワイアル・チーム戦(後)
「サクサク上がって次とーとー準決だなーハチー」
「うん……重たい」
2回戦が終わって、休み時間って言うのがあるみたいで、生徒たちがみんな休んでる間。
お兄ちゃんと一緒に、トーナメント表を見上げる。でもお兄ちゃんが後ろからのし掛かってて、見辛い……さっき最初から見てなかったって言われたから、罰、受けてる、みたい。
お兄ちゃんと一緒なら……別に罰じゃ、ないのに。
「次は、りょーすけ先輩たち、のところだ」
「逆に違うとこ来たらビビってチビんねー? あ、ハチがチビったらオレが責任持って処理すっから安心してチビっていーぜ!」
「しない、よ」
「マジレス!」
お兄ちゃんが楽しそうに笑って、トントンってトーナメント表をつついた。
「楽しーな、ハチ」
「何、が?」
「こーやって、オレたち……つーより、オレを倒すのに必死こきまくりの感じ、すっげー楽しくね? ワクワクすんじゃねーの」
「……楽しいの?」
「ちょっちなー……オレをどーこーしたかったらこんなんじゃ足らねーけど」
指で画面をぐって押すお兄ちゃん、を見上げたらお兄ちゃんは俺見下ろしてニッていつもみたいに笑って、
「ハチは楽しくねーの?」
って聞いてきた。
楽しい?
お兄ちゃんを倒そうとしてる人が居る、のが?
俺の胸元に回るお兄ちゃんの腕、ぎゅって掴む。
「俺は、お兄ちゃんが……倒れないように、見てるのに、精一杯」
「見てるだけなのかー寂しー」
「だって……お兄ちゃんは俺が見てたら、倒れないって言ってた……あれ?」
自分で言って、首を傾げた。
お兄ちゃんは、俺が見てたら倒れないって言ってた、って……いつ?
そんなこと、言った記憶ない……あれ、言った?
どうだっけ、って思ったら腕の力がぎゅって強まって。
お兄ちゃんが俺の肩に頭乗せてきた。
「お兄ちゃん……?」
「……」
「えっと……お腹、痛い……?」
「どっこも痛くねーよ」
「ほんと?」
「マジ……そーだよな、ハチが見てっから倒れらんねーよな」
お兄ちゃんは肩に顎乗せて、俺を見て小さく呟いて眩しそうに笑う。
その笑い方見て、お兄ちゃんだ、って思った。
お兄ちゃんは、お兄ちゃんなのに……何か、すごく懐かしくて。
口を開こうとして、唇に指を当てられる。
「大丈夫」
お兄ちゃんはそう小さく、俺に言い聞かせるように囁いてから、スッと体が離れた。
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