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一旦、両チームが降りる。と、ユキさんが「で?」ってお兄ちゃんに声掛けた。
「んー?」ってお兄ちゃんが俺の肩に手を置きながら首傾げるとユキさん、眉間に皺寄せる。
「……白々しいわ。もう決まっとるんじゃろ」
「決まってる……?」
「園村の阿呆の代わりじゃ。タイミングがおかしすぎる、向こうに欠員が出たのを知ってやった違うか?」
「けーたんトイレで戻って来ねーだけだろー、オレも困ってんだよなー」
「あ?」
「ほらオレってばアイドルだからにゃー、急な欠員出て補充出来るよーなオトモダチ居ねーわ」
困りましたねハチーってお兄ちゃんに顔覗き込まれて、友達……って思って近くでこっちの様子見てた静と目、合った。
それで何か分かったのか、静は首を横に振る。
「白羽の矢が立ってらっしゃるところ申し訳ございませんが、僕に園村さんの代役は務まりません」
「……あそこまでやれとは言うてないが、意外じゃの。八雲が居るならオノレも言うイメージだ」
「僕は有賀派と伴うイメージがないもので」
「あ、にゃるほどなー。その言い方いーな」
お兄ちゃんは静の言葉に笑うと、俺の肩に腕を回してきた。重たい。
「オレと伴うハチは、オレの派閥みてーに見えるって言い方、オレ好きだぜー」
「やっくんは、無所属です」
「そーかもな? でも周りにはどー見えっかな、オレの派閥とトゥギャザーしてるハチが無所属に見えっかなー」
「何言ってんの、有賀」
お兄ちゃんの言葉に冷たい言葉を言うのは、周りがびっくりして開けた道を真っ直ぐ通ってきたレンだ。
「レン」
「モーセってるレンレンこそ何したよ、替えメンバー立候補?」
「……普通に考えてみろよ、四天王が同じチームに二人入ったらバランスが崩れる以前にお前と組むとか吐き気がする」
「わかってんじゃねーの、オレもレンレンだけはねーと思ってるから何したって聞いてんだけどなー」
「最初から決まってるのに延ばして遊んでる有賀に腹立って来た。向こうは替えが居るみたいだから早くしろよ」
レンはそれだけ言うとさっさと戻って行っちゃう……何も話せなかった、けど、向こうは人が居る?
回れ右して見ようとする俺の手を掴んだ静が、怖い顔で向こう睨んでた。
「何故、向こうに明神陰が……?」
低い声、明神陰……なっちゃん?
リングの向こう側、りょーすけ先輩たちの方を見れば、鮮やかな金髪がマルコ以外にもう一人。
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